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やがて海へと届く [読書]

『やがて海へと届く』読みました

東日本大震災で友人を亡くした女性のお話。
大切なモノを亡くした後って、ずっとあたまの中にそのことが残っていて、忘れる日が来るのか?ってくらいそのことで埋め尽くされたりするんですよね。
主人公も同様で、友人を忘れようとしている友人の恋人や母親に反発を覚えている。
でも、来るんですよね、心の中を占めるのでは無く、心の一部分に居場所を見つけてそこに収まるときが。忘れないように心をいっぱいにするんではなく、心の中にちゃんと場所ができて、ほかのことと同様に思い出せるようになる。
本人は死んでしまっても、結局その人を感じているのは自分の中なんですよね。自分の中のその人の情報が更新されなくなるだけで、消えてしまうことはない。
所詮、人と人とが100%わかり合うなんて幻想ですしね。ある人物のことで自分が知っていることと他人が知っていることが合致しないのがいい例でしょうか。
この話の中で、カエルちゃんとキノコちゃんの話が一番共感持てました。確かに、何かあるたびに「忘れない」「忘れない」って他人に強要するみたいにいうのが今のはやりですよね。
お話の中にもありましたけど、教訓ならわかるんですが、知りもしないことを忘れないようにするのは無理でしょうね。
原爆も空襲も、震災も津波も、土砂災害も事件事故も、忘れたくないのは当事者達であって、他の人たちに取っては、正直どうでもいいことです。逆に言うと自分にとって「忘れない」ことは自分以外にとっては本当にどうでもいいことなんですよね。振り返ったときに、思い出せることは大切だとは思いますが、前を向いて歩くのに、後ろのことを見続けることは出来ないと思うんですよね。
でも、相手の立場になって考えようとしたカエルちゃんとキノコちゃんは偉いなぁと。幸せになってほしいものです。

これにて。


やがて海へと届く

やがて海へと届く

  • 作者: 彩瀬 まる
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/03
  • メディア: 単行本



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